LDL(悪玉)コレステロールを下げる効果が期待できる5つの有効成分と食品について

健康診断などでLDL(悪玉)コレステロールが140mg/dl以上を超えると「高LDLコレステロール血症」と呼ばれる脂質異常症になります。

脂質異常症は、高血圧や初期の糖尿病などと同様に、自覚症状がないまま静かに進行していくサイレントキラーのひとつです

自覚症状が無いからといって放っておくと、血中に増えたLDL(悪玉)コレステロールが血管の壁にこびりついて炎症を起こし、動脈硬化を進行させてしまいます。

そして、動脈硬化によって血管が詰まりやすくなると、心筋梗塞や脳梗塞などさまざまな病気のリスクを高めてしまいますので、早めに食生活や生活習慣を見直すことが大切です。

そのため、ここではLDL(悪玉)コレステロールを下げる効果が期待できる5つの有効成分と食品について紹介します。

5つの有効成分と食品について

オメガ3脂肪酸

高LDLコレステロール血症などの脂質異常症になってしまう大きな原因の一つに、肉類の脂身やバターなどの乳製品に多く含まれる飽和脂肪酸の取り過ぎがあります。

また、中性脂肪自体はLDL(悪玉)コレステロールのように血管壁にこびりつきませんが、中性脂肪が増えすぎると脂質の代謝異常が起こりLDL(悪玉)コレステロールが増えやすくなってしまいます

そのため、中性脂肪の原因となる糖質の取り過ぎにも注意が必要です。

そこで注目されるのがオメガ3脂肪酸です。

オメガ3脂肪酸は青魚に多く含まれるEPA・DHAやエゴマ、アマニ油に多く含まれるαリノレン酸などで、HDL(善玉)コレステロールを増加させ、中性脂肪を下げる効果が認められており、脂質異常症の改善のために積極的に摂取したい油です

リコピン

リコピンはよく聞き覚えがある成分ですぐに「トマト」が思い浮かぶ人も多いでしょう。トマト(トマトジュース)が赤いのは、この赤い色素(カロテノイド系色素)であるリコピンによるものです。

リコピンは、余分なコレステロールを回収する働きをしてくれる善玉コレステロール(HDLコレステロール)を増やすことが知られています。

また、リコピンの持つ抗酸化作用によりLDL(悪玉)コレステロールの酸化を防ぎ動脈硬化の予防にもなると言われています。

リコピンを多く含む食品としては、トマトそのものの他、濃縮されたトマトペーストやトマトジュース、金時人参やスイカなどがあります。

キトサン

キトサンとは、蟹や海老などの甲殻類の殻に含まれる動物性の食物繊維の一種です

コレステロールは、脂肪の消化吸収を助ける働きを持つ胆汁酸の材料になりますが、キトサンにはこの胆汁酸を吸着し排出する働きがります。

そして体内の胆汁酸が減少することで、血中からのコレステロール(胆汁酸の材料となる)の取り込みを促進するため、その結果、LDL(悪玉)コレステロールが下がりやすくなります。

前記したとおり、キトサンは甲殻類の殻に多く含まれるため食事ではなかなか取ることができません。そのためサプリメントでキトサンを摂る場合には、脂っこい食事と一緒のタイミングが良いとされています。

ナイアシン(ビタミンB3)

ナイアシンとは、ビタミンB群の一種でビタミンB3の別名で、脂質・糖質。タンパク質の代謝やエネルギーの生成、皮膚や粘膜の健康維持など、さまざまな働きをしています

ナイアシンは、HDL(善玉)コレストロールを減少させずに、LDL(悪玉)コレステロールと中性脂肪を低下させ、脂質の代謝を改善するため、脂質異常症(高脂血症)の治療薬として使われることがあります。

ナイアシンは鶏肉に牛や豚のレバーをはじめ、カツオやマグロ、たらこ(生)などに多く含まれます。

また、ナイアシンを単体でサプリメントで摂った場合には、一過性で顔面紅潮や身体のほてりやかゆみなどが出る「ナイアシンフラッシュ」という症状が出ることがあることを知っておきましょう。

この症状は、ナイアシンの「血管拡張作用」や「ヒスタミン放出作用」によるもので、もともと血流が悪い人やアレルギー体質の人に出やすい傾向がありますが、血流改善やアレルギー改善などの健康効果に関連し、一定時間で元に戻り適切に使用すれば安全とされています

ただ、過剰摂取は下痢や嘔吐、肝機能低下などが生じた例も報告されているので、自己判断で摂取する場合にはその用量などに注意するようにしましょう。

モナコリンK

LDL(悪玉)コレステロールが高くなる原因は、「脂っこ食事の取り過ぎ」というイメージが強いですが、実は食事から吸収されるコレステロールは30%程度しかなく、その約70%は肝臓などで合成されます。

つまり、体質によってはいくら食事を注意してもなかなかLDL(悪玉)コレステロールが下がらないことがあります。

生まれつきLDL(悪玉)コレステロールが異常に増えてしまう「家族性高コレステロール血症」という病気もあります。

病院での高コレステロール血症などの治療で用いられるスタチン系のコレステロール低下薬にロバスタチンがあります。

このロバスタチンは肝臓でのコレステロール合成を抑制することでLDL(悪玉)コレステロールを低下させますが、そのロバスタチンと同様の成分であるモナコリンKは紅麹に含まれていることがわかっています。

また紅麹には、ストレスを軽減させ睡眠の質を整えたり、血圧の上昇を抑えるといわれるGABAも含まれるため、健康効果を期待した紅麹サプリメントもあります。

ただ、サプリメントではLDL(悪玉)コレステロールを低下させるほどの効果が無かったり、逆に医療薬のロバスタチン同様の副作用が起こる可能性もあるので、モナコリンKを含む紅麹サプリメントを摂取する際は担当の医師に相談しましょう

また、コレステロールと同じ合成回路で作られるコエンザイムQ10の合成も同時に阻害されてしまうため、CoQ10の同時摂取が推奨されることがあります。

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