コロナ禍で脚光を集めた「太陽のビタミン」と呼ばれるビタミンDの効果について
2020年の初め、日本でも新型コロナ感染症が流行しはじめた当時、まだ特効薬やワクチンが未開発の状況のなかでは、手洗いやうがい、マスク着用など基本的な感染対策を実施すること。そして「いかに自己免疫力を高めるか?」が重要視されていました。
しかし、感染者が増えていくなかで、その重症化の原因のひとつが自己免疫が暴走してしまうサイトカインストームであることが分かってきました。
免疫は本来、ウイルスや菌などの外敵から身体を守るために戦ってくれるシステムですが、未知なウイルスが入ってきたことで免疫システムが暴走し、ウイルスだけではなく自分の細胞まで傷つけてしまうことがあります。
つまり、感染症などに負けないカラダを作るためには、、
免疫力を高める(免疫の数を増やしたり攻撃力を強くする)というよりも、免疫システムが正常に作動するように整えることが大切になります。
そこで、脚光を浴びたのが免疫機能を調整する(必要な免疫機能を促す役割を果たしながら、免疫システムの不要な過剰反応を抑える)働きをしてくれるビタミンDです。
ビタミンDの不足と欠乏による健康的リスク
ビタミンDは脂溶性のビタミンで、人間のカラダにとって必要不可欠な栄養素です。
ビタミンDにはD2からD7までの6種類ありますが、主にしいたけやマッシュルームなどのきのこ類に多く含まれる植物由来のビタミンD2と、鮭やサバなどの魚類に多く含まれる動物由来のビタミンD3の2つが人間にとって重要になります。
このビタミンDが不足してしまうと、さまざまな健康的リスクが高まることが分かっています。
ビタミンD欠乏症
ビタミンDは人間の骨格を支える骨を作るうえで重要な役割を担っています。
骨を強くするためには、その材料であるカルシウムの重要性は周知されていますが、カルシウムだけ一生懸命摂っても骨は強くなれません。
マグネシウムやリン、タンパク質など他の栄養素も骨づくりには必要です。そして、カルシウムの吸収を助ける役割を担っているのがビタミンDです。
つまり、ビタミンDが不足してしまうと、腸管からのカルシウムの吸収低下と腎臓でのカルシウム再吸収が低下してしまい、場合によっては低カルシウム血症となり、骨や筋肉が弱くなってしまいます。
成人であれば骨軟化症の原因になりますし、高齢者では骨粗しょう症。
また、乳幼児や子供の場合では「くる病」と呼ばれ、頭蓋骨全体が柔らかくなってしまったり、身長が伸びにくく、姿勢が悪く、O脚やX脚になるなどの成長障害の原因となってしまいます。
ビタミンDは欠乏も過剰摂取も注意が必要
幸いなことに、ビタミンDは食事からの摂取だけではなく、日光に当たることによって生成できるため「太陽のビタミン」とも呼ばれます。
紫外線と聞くとシミや皮膚がんの原因となるイメージが強いですが、イギリスやアイルランドなどの日照時間の少ないヨーロッパでは、国民にビタミンDの摂取を推奨する国もあるようです。
当然紫外線の過度な浴び過ぎは良くありませんが、コロナ禍ではテレワークのため通勤で外出することもなく、日中も外出を控えがちでした。
また、冬の季節は夏と比べると日照時間が少なくなりますし、その寒さから自然と室内にこもりがちになりますし、外出の際もニット帽にコート、ブーツなど万全な寒さ対策をすると、必要な紫外線を浴びる機会も減ってしまいます。
ビタミンDが不足してしまうと、骨や筋肉が弱くなり健康的な生活に支障が出てしまいますので、バランスの良い食事や適度な日光浴を心がけて不足させないようにしましょう。
ただし、ビタミンD単体のサプリメントなどでは摂り過ぎにも注意が必要です。
1日の摂取目安は8.5㎍
ビタミンCのような水溶性ビタミンと違い(余分なものは尿で排出される)、ビタミンDは脂溶性のため身体に溜まりやすく、過剰に摂取してしまうと高カルシウム血症など思わぬ健康障害を招く可能性があります。
日本人の食事摂取基準では、ビタミンDの1日の摂取目安が男性・女性共に18歳以上で8.5㎍です。
このように、ビタミンDは風邪やウイルスに負けない免疫機能を調整し、骨や筋肉の健康のため足らなくても、多すぎてもいけない重要な栄養素です。
その他にも、認知症のリスク軽減や鬱の改善、重度のアトピー性皮膚炎の症状が緩和されたといった報告もありますので、
日中野外での仕事ではなくテレワークや事務仕事で日光を浴びる機会がなく、食事からも摂れていないと感じる際には、必要なビタミンDの量がしっかり摂れているか?
と同時に、必要以上の量が摂れてしまわないか?を確認してサプリメントを選ぶようにしましょう。