• HOME
  • ブログ
  • 食事
  • 風邪やインフルエンザが流行する季節——本当に「ビタミン」は効くのか? 医学的エビデンスから読み解く“本当に知るべきこと”

風邪やインフルエンザが流行する季節——本当に「ビタミン」は効くのか? 医学的エビデンスから読み解く“本当に知るべきこと”

気温が下がり、乾燥も進むこの季節。

周りで風邪が流行っていたり、「今年はインフルエンザが早い」という声も聞かれるようになりました。

テレビやSNSでは「ビタミンで免疫を整える」「ビタミンCビタミンDが風邪予防にいい」といった情報も多く見かけます。

しかし実際のところ、ビタミンで風邪やインフルエンザは防げるのでしょうか?

医学的に確かな根拠はあるのでしょうか?

本記事では、最新の医学文献に基づき、その関係をわかりやすく解説します。

ビタミンC:免疫を支える基本栄養素

風邪対策として昔から人気のビタミンCには、抗酸化作用があり、白血球の働きをサポートします。

メタアナリシス(※1)では、風邪の罹患期間が8〜14%短縮したという結果が報告されています。

ただし「風邪を完全に予防する」効果は限定的で、主に症状を軽くし、長引かせない方向に働くと考えられています。

ビタミンD:インフルエンザ・呼吸器感染症との関連

近年最も注目されているビタミンがビタミンDです。

免疫細胞を調整する働きが医学的に認められています。

大規模研究(※2)では、ビタミンDサプリメントを継続して摂取した人は急性呼吸器感染症(風邪・インフルエンザを含む)の発症リスクが有意に低下しました。

特に冬は日照時間が短く、日本人はビタミンD不足になりやすいため、流行シーズンと不足のタイミングが重なる点も重要です。

ビタミンA:粘膜バリアを強化する栄養素

ビタミンAは鼻・喉・気管支などの粘膜を正常に保つために不可欠です。

粘膜はウイルス侵入を防ぐ第一防御ラインであり、乾燥しやすい冬場はこの粘膜の健康状態が感染リスクに直結します。

亜鉛:ウイルス増殖抑制と初期症状の軽減

ビタミンではありませんが、免疫に重要なミネラルである亜鉛も風邪対策に有用です。

研究(※4)では、風邪の初期に亜鉛を摂ることで症状が早く改善することが報告されています。

免疫細胞の正常な働きにも必要不可欠です。

結論:ビタミンは免疫の土台を強化する

風邪インフルエンザはウイルスによる感染症であり、ビタミンだけで完全に防ぐことはできません。

しかし医学的には、ビタミンDの発症リスク低減効果、ビタミンCの症状軽減、ビタミンAの粘膜バリア維持、亜鉛の症状短縮作用などが明らかになっています。

これらは「免疫の基盤づくり」として非常に理にかなったアプローチです。

流行シーズンには、バランスの良い食事、適度な日光浴(ビタミンD産生のため)、必要に応じたサプリメント、加湿や睡眠などの生活習慣を組み合わせることで、感染症への抵抗力を高められます。

参考文献・出典
※1 Hemilä H, Chalker E. Vitamin C for preventing and treating the common cold. Cochrane Database Syst Rev. 2013.
※2 Martineau AR et al. Vitamin D supplementation to prevent acute respiratory infections: systematic review and meta-analysis of individual participant data. BMJ. 2017.
※3 Sommer A. Vitamin A deficiency and clinical disease: an historical overview. J Nutr. 2008.
※4 Science M et al. Zinc for the treatment of the common cold: a systematic review and meta-analysis. CMAJ. 2012.
※5 Urashima M et al. Randomized trial of vitamin D supplementation to prevent seasonal influenza A in schoolchildren. Am J Clin Nutr. 2010.

関連記事一覧