
「アンチエイジングの鍵は“ミトコンドリア”。細胞から若さを取り戻す生活習慣」
若さのスイッチ「ミトコンドリア」
「ミトコンドリアって、理科の授業で一度は聞いた覚えがありませんか?」
細胞の中にある“エネルギー工場”と説明された、あの小さな器官です。
大人になってからはすっかり忘れてしまいがちですが、実はこのミトコンドリアこそ、疲れにくさ・代謝・肌の若々しさといった「大人の健康とアンチエイジング」に深く関わる存在だと、近年の研究で分かってきました。
“若さのスイッチ”は化粧品でもサプリでもなく、細胞の中のミトコンドリアを元気にすることから始まる・・・
そんな視点で、今回はミトコンドリアとアンチエイジングの関係を分かりやすく解説します。
ミトコンドリアの働きが弱まると多発する老化の兆候

私たちの細胞の中には、エネルギーを作り続ける小さな発電所「ミトコンドリア」が存在します。
この働きが弱まると、次のような「老化の兆候」が同時多発的に起こります。
- 疲れやすい(ATP産生の低下)
- 肌のターンオーバー低下 → くすみ・シワ
- 代謝低下 → 太りやすい
- 活性酸素(ROS)増加 → 炎症・老化の加速
逆に、ミトコンドリアが元気に働くと、全身の若さと健康につながります。
- 疲れにくさの改善
- 代謝が上がり、太りにくい体へ
- 肌細胞の修復が活発に
- 炎症や酸化ストレスに強くなる
アンチエイジングでミトコンドリアが注目される理由は、“加齢で衰える細胞機能の根本(エネルギーと修復)に直接アプローチできる臓器だから”です。
ミトコンドリアを活性化する3つのアプローチ

ミトコンドリアを元気にするには、次の3つが重要です。
①増やす ②質を高める ③酸化ダメージを抑える
ミトコンドリアを“増やす”安全な運動習慣
中高年世代では「激しい運動」よりも、軽く息が弾む程度の負荷を“継続”することが最も効果的です。
速歩きウォーキング(20〜30分/日)
いつもより少しテンポを上げて歩くことで、ミトコンドリアを作るスイッチ「PGC-1α」が活性化します。
ゆる坂道ウォーク
平地よりも負荷が軽く上がり、効率良くミトコンドリアを刺激します。
椅子スクワット(5〜10回×2セット)
椅子を使えば転倒リスクが少なく、大筋群を安全に鍛えられます。
水中ウォーキング
膝・腰に優しく、心肺機能を高めるのに最適です。
「軽い息上がり × 継続性」がミトコンドリア活性の最適解です。
ミトコンドリアが働くための“材料”を満たす食事
ミトコンドリアは栄養が不足すると働くことができません。特に以下が重要です。
- ビタミンB群(B1・B2・B3):糖・脂質の代謝に必須
- 鉄:電子伝達系の材料
- マグネシウム:ATPを活性化
- コエンザイムQ10:エネルギー産生の中心
積極的に摂りたい食べ物は以下の通りです。
- 玄米・雑穀
- 豚肉、レバー
- 青魚
- 緑黄色野菜
- ナッツ類
ミトコンドリアを守る“抗酸化”アプローチ
加齢とともにミトコンドリアは活性酸素を受けやすくなります。
これを防ぐことで、機能低下を大きく遅らせることができます。
- ポリフェノール(レスベラトロール、カテキン)
- ビタミンC・E
- アスタキサンチン
- EPA・DHA(クリルオイル)
ミトコンドリア活性と相性のよいサプリメント

NMN
NAD⁺の前駆体です。ミトコンドリアの修復力とエネルギー産生を底上げする研究が多数あります。
α-リポ酸
糖代謝を助ける補酵素です。加齢で低下しやすいため補いやすい成分です。
コエンザイムQ10
エネルギー産生に不可欠ですが、年齢とともに体内量が急減します。
「コエンザイムQ10」と聞くとどんなイメージがありますか? 美容液や化粧水(クリーム)などコエンザイムQ10(以後CoQ10と表示)が入っている化粧品も多いため、アンチエイジングや美容のイメージある人が多いのではないでしょうか? 以前は医薬品の原料として使用されていたCoQ10ですが、厚...
L-カルニチン
脂肪酸をミトコンドリアへ運ぶ“運搬係”です。
クリルオイル(EPA・DHA+アスタキサンチン)
中高年に特におすすめの理由は以下の3点です。
- リン脂質型EPA/DHAでミトコンドリア膜に届きやすい
- アスタキサンチンがミトコンドリア内部の酸化を強力に抑制
- 脳疲労・代謝の改善に寄与し、疲れにくさにも貢献
2019.09.30
世界で一番きれいな海「南極海」のクリルオイルを動画で紹介
自然のオメガ3脂肪酸をたっぷり含んでいる南極クリル(オキアミ) アーカー・バイオマリン社は南極でクリル(オキアミ)を捕獲し、新鮮なクリル(オキアミ)からクリルオイルを製造しています。世界で一番きれいな海「南極海」。 この南極海でとれるクリル(オキアミ)には世界一の自然のオメガ3脂肪酸がた...
ミトコンドリアが喜ぶ生活習慣
今日から始められる生活習慣をご紹介します。

朝の光を浴びる
体内時計が整い、エネルギー生成の効率が上がります。
軽い空腹時間をつくる(緩やかな時間制限食)
オートファジーが働き、古いミトコンドリアのリサイクルが進みます。
入浴で深部体温を上げる
ミトコンドリア酵素が働きやすくなる最も簡単な習慣です。
睡眠の質を確保する
ミトコンドリアの“修復時間”は睡眠中です。深い睡眠がアンチエイジングの土台となります。
まとめ
ミトコンドリアは、「若さ」「疲れにくさ」「代謝」「肌の再生」すべての根幹をつくる存在です。
中高年でも、適度な運動・栄養・良質な生活習慣を整えるだけで、ミトコンドリアは確実に活性化します。
「細胞から若返る」というアンチエイジングの原点、それがミトコンドリアケアです。
是非身近なものから取り入れてみてはいかがでしょうか?
【1】Wallace DC. Mitochondria and aging. Nat Rev Mol Cell Biol.
【2】Sun N, Youle RJ. The Mitochondrial Basis of Aging. Cell.
【3】Canto C, Auwerx J. NAD⁺ metabolism and metabolic control. Cell Metabolism.
【4】Hood DA. Mechanisms of exercise-induced mitochondrial biogenesis.
【5】Gomes AP et al. Declining NAD⁺ induces a pseudohypoxic state disrupting nuclear–mitochondrial communication. Cell.

















