赤ちゃんの「脳力アップ!」のために妊娠中から摂りたい「DHA」について

妊娠中の女性にとって重要な栄養素として「葉酸」がよく知られてますが、葉酸は細胞増殖や臓器形成に不可欠なビタミンB群の一種です。

特に、妊娠初期には胎児の細胞分裂がさかんに行われる(脳や脊髄などの重要器官も作られる)ため、赤ちゃんの「無脳症」や「二分脊椎」などの神経管閉鎖障害のリスクを減らすためにも、適切な摂取が求められています

またこの時期は、葉酸に限らず、ちゃんと摂るべき栄養避けたい食品など、毎日の栄養バランスに気を配る必要がありますが・・

赤ちゃんがまだお腹のなかにいる妊娠後期から、2歳くらいになるまでに急速に発達する“脳”ために不足させたくないのがDHAです。

「脳の成長期」に脳の材料となる脂質、なかでも「頭の良くなる成分」といわれるオメガ3系脂肪酸のDHAを摂り続けることで、「脳力」の向上が期待できるのです。

妊娠中、授乳中のお母さんは、赤ちゃんにより多くのDHAを与えるため、普段の2倍程度のDHA摂取が必要となります。DHAの不足は赤ちゃんだけではなく、お母さん自身の脳機能も低下させてしまうので、しっかり摂取を心がけましょう。

引用:眠れなくなるほど面白い脂質の話

DHAは脳細胞の活性化に必要不可欠?

「魚をたくさん食べると頭が良くなるよ!」というのは良く知られていますが・・

これは魚やエゴマ油、そしてクリルオイル(オキアミ由来の油)などに多く含まれるオメガ3脂肪酸の一種であるDHAの働きによるものです。

脳は水分を除くと約65%が脂質(残り約35%がタンパク質)でできており、脳の中には約140億ともいわれる脳細胞が存在しています。そして・・

脳細胞に栄養を摂り込んで老廃物を排出したり、細菌の侵入を防いだりするのが、細胞を包み込んでいる細胞膜の役割であり、その細胞膜の構成要素となるのがDHAです。

「DHAは脳の主要な構成脂質で、胎児および幼児の脳は、成長に従って大量のDHAの蓄積を必要とします。2009年のKannass et al.による研究では、分娩時に高い血中DHAレベルの母親から生まれた幼児は、2歳での集中力持続時間が高いレベルにあることを示しています。」

引用:DHAオメガ3妊娠中の重要な栄養素である理由

よく昔から柔軟な考えができないと「頭が固いね。」とか、発想が豊かだと「頭が柔らかいね!」なんて言ったりしますが、、実はDHAが不足すると実際に細胞膜が固くなり情報伝達がスムーズに行われなくなります

逆に、DHAが豊富で柔軟かつしなやかな細胞膜であるほど、情報伝達がスムーズで細胞の働きも活発化するので、昔の人はそういったことを感覚で捉えて表現していたのかもしれませんね。

また、脳は人間にとって重要な器官のため、細菌やウイルスなどの有害物質の侵入を防ぐための”血液脳関門“という特殊なフィルターがあります。


実は、オメガ3脂肪酸のなかでは血液脳関門を通過することができるのはDHAだけ
で、神経細胞の発育や機能維持、情報伝達などの重要な役割を果たすので、記憶や学習能力の向上のためにも適切な摂取を心がけたいですね

喘息やアトピーなどのアレルギーリスクも低減

以前の日本人にくらべて、現代人に多いのが喘息アトピーなどのアレルギーです。このアレルギーの原因の1つとして考えられるのが、妊娠中に摂取する脂肪酸の種類です

マーガリンやショートニングなどに多く含まれる「トランス脂肪酸」や「オメガ6脂肪酸」の過剰摂取は、喘息やアトピー、花粉症などのアレルギーの原因となり、赤ちゃんにも影響を及ぼしてしまう可能性があります。

それに対して、DHAやEPAを含むα-リノレン酸などのオメガ3脂肪酸は、それらのアレルギー反応や炎症を抑制する性質があります。

妊娠後期のオメガ3脂肪酸(DHA・EPA)のサプリメント摂取は出生児のぜんそくの発症率を30%低下させることが示されました。

引用:妊娠中のオメガ3脂肪酸摂取と子のぜんそく発症リスク

そのため、人工的なトランス脂肪酸を多く含むインスタント食品やファーストフード、お菓子などは極力避けるようにしましょう。

一方で、オメガ6脂肪酸はオメガ3脂肪酸と同じく人間が体内で生成できない必須脂肪酸(食べ物から摂取する必要がある)のため、一定レベルの摂取は必要です

ただ、オメガ6脂肪酸は食用油としても多用されるサラダ油にも多く含まれるので、どうしても必要以上に多く摂取してしまいがちです。

そのため、オメガ6脂肪酸を摂りすぎだと感じたときには揚げ物や加工食品はなるべく控え、魚など良質な油を含むものを食事に加えながら【オメガ6:オメガ3】の双方のバランスを整えるように心がけましょう。

生まれてくる赤ちゃんと健康を支えるお母さんのために

妊娠は自分以外の生命をもう一つお腹に抱えるため、必要とする栄養素も変わりますし、生活自体も大きく変わる時期です

それに「赤ちゃんのため。赤ちゃんのため。」と想う反面で、好きな食べ物をガマンしたり、自分がしたいこともできずストレスも溜まりやすいですし、、

この時期の女性は、ホルモンバランも崩れやすいため、不安になったり気持ちが落ち込んだりすることも少なくありませんが、そんなお母さんにとってもDHAは強い味方です。

妊娠期に魚を多く摂取している女性は、あまり摂取していない女性に比べ、「抑うつ状態」が少ないことが、富山大学の研究で明らかになった。

引用:日本生活習慣病予防協会

ただ、DHAが豊富なオメガ3脂肪酸を積極的に摂取するため「マグロのお刺身をたくさん食べればよう!」と考えてしまうかもしれませんが、、

マグロやカツオなどの食物連鎖の頂点にいる大型の回遊魚には、水銀などの汚染物質が蓄積しやすい(濃度が高くなる)ため、胎児にも悪い影響を与えてしまう可能性がありますので、食べすぎには注意が必要です。

もし、魚の汚染物質の心配な場合には、安全性の高いフレッシュなサプリメントなどで足りないDHAを補うのも良いでしょう

赤ちゃんの能力アップはもちろん、第一に元気に生まれてきてくれるために!そして、赤ちゃんの健康を支えるお母さんの身体を守るためにも、毎日の栄養バランスを大切にしましょう

【参考】眠れなくなるほど面白い脂質の話

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