ふくらはぎや膝裏の血管が浮き出てくる下肢静脈瘤ってどんな病気なの?
下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)とは?
下肢静脈瘤は、血管の病気です。足の皮膚のすぐ下の静脈がふくらんで、蛇行してコブになった状態です。
正常な足の静脈では、血液が重力に逆らって心臓のほうに戻っていきますが、下肢静脈瘤では静脈の中にある逆流防止弁の機能が障害され、立った状態では血液が逆すると瘤(コブ)を形成します。
実は、下肢静脈瘤は非常に身近な血管の疾患で日本人の43%が持っていますが、通常は生命を脅かす危険はありません。
しかし、軽症でも女性は美容的に悩むケースも多く、また、重症化すると不快な症状を呈するため、適切な予防や治療が必要となります。
下肢静脈瘤の症状
主な症状には、足がむくむ、だるい、血管が浮いて見える、鈍痛、足がつる、などがあります。
隠れたところに静脈瘤が出来る方もいらっしゃいます。重症化すると湿疹、色素沈着などのうっ滞性の皮膚炎から皮膚潰瘍(かいよう)を形成することもあります。
下肢静脈瘤になりやすい人
女性に多く見られ、妊娠、出産を契機に発症することも多いです。増悪因子は立ち仕事、加齢、肥満とされており、職種では調理師、美容師などに多く見られます。
下肢静脈瘤の種類
下肢静脈瘤は部位と太さによって、①クモの巣状静脈瘤、②網目状静脈瘤、③分枝型静脈瘤、④伏在型静脈瘤の4種類に分類されます。
①クモの巣状静脈
クモの巣状静脈瘤は皮膚内の毛細血管が拡張した静脈瘤です。静脈の径は1mm以下で血管がクモの巣のように広がって見えます。
②網目状静脈瘤
網目状静脈瘤は皮膚のすぐ下の小さな静脈に起こる静脈瘤です。膝の後ろ周囲に多く、径1~3mmの静脈が網目状に拡張します。
双方とも自覚症状がないことが多く、まれに違和感や熱感を伴うことがあります。伏在型に合併することは多いですが、進行して伏在型静脈瘤になることはありません。
③分枝型静脈瘤
痛みや皮膚炎を起こすことは少なく、美容上の悩みが強いときは静脈瘤切除や硬化療法といった手術をすることもあります。
④伏在型静脈瘤
静脈の逆流防止弁が機能しなくなり発症する静脈瘤で、足の大きな瘤に大量の血液が溜まるため、足がだるくなったり、むくんだりします。
うっ滞性皮膚炎や潰瘍(かいよう)が起こることもあり、外科手術が必要な場合があります。
◆ 足の不快な症状セルフチェック
下肢静脈瘤は特別な病気ではなく、誰でも発症する可能性がある病気です。けれども発症してしまったら自然に治ることはありません。ゆっくりと静かに進行していきます。
症状によっては経過観察で済む場合もありますが、医療機関を受診した方がいい場合もあります。まずは足の状態を客観的に把握してみましょう。
足が疲れやすい
午後から夜にかけて足が重たくてだるい
午後から夜にかけて足のむくみを感じるが、朝になるとスッキリしている
すねを指で5秒押すとへこんだ跡がつき、3秒以上経っても元に戻らない
朝と夜で足首の太さが1㎝以上違う
夕方になると靴がきつくなり足が痛くなる
靴下のゴムの跡がかなり強く残る
くるぶしまわりにかゆみがある
ふくらはぎや足がほてることがある
足が冷たく感じることが多い
皮膚が乾燥したり、炎症を起こして痛みがある
寝ているときに足がつり(こむら返りが起こり)
足にクモの巣のような細い毛細血管が目立つ
足に太さ2~3㎜の血管が透けて見える
足に太さ3~4㎜の血管が浮き出ている
足にボコボコしたコブ状の血管が浮き出ている